3月のライオン7巻感想  by パン友

さてさてどうもこんばんは。
私にしては珍しく、割かし短いスパンでの更新となります、お世話様ですパン友です。。


前回のライブ記録にも書いてあった通り、羽海野チカ先生による青年コミックにして、2011年度マンガ大賞受賞作でもある、『3月のライオン 7巻』の感想・考察、レビューを書いていきたく思い、筆を取っております。


さて、いつもであればどうでも良いだらけた世間話から始めている私ですが、今回は前置きもこの辺に、早速本作の中身について語っていきたいと思います。
文章が稚拙なため読みづらく感じたり、明らかに独りよがりで恥ずかしい内容も多く含まれるかと思いますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。


(なお、今回ツイッターからお越しになった方も多いようなんで改めてご紹介させて頂きますと、右にあるバナーの“左頭 友”(@hidari_atama)というアカウントの主が、こちらのブログでは“パン友”と称して書いていたりします。
当ブログの相方M-san共々、今後ともよろしくお願いいたします!)


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3月のライオン 7 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 7 (ヤングアニマルコミックス)

まず今巻の内容ですが、Amazonの商品紹介には以下のように示されています。



(将棋の)新人王を獲った零だったが、いじめられているヒナのために、自分が何もできないと勝手に思い込んでいた。
一方、ヒナは学校で心が折れそうになりながらも、懸命にいじめと戦っていた。
二人の様々な思いが交錯する中、物語は新たな展開をみせる。
「本当の強さとは何か?」
あなたに問いかける『3月のライオン』第7巻、ここに登場です。

7巻以外の既刊についての詳しい内容にはここでは語りませんが、もしまだ知らない方がいれば以下のWikipediaさんの紹介ページを確認してみて頂ければと思います。


3月のライオン - Wikipedia

本7巻は全10話分収録。
まず冒頭では主人公・桐山零の自称?ライバルである二階堂を破り、前巻にて零と対峙し、敗戦した男の物語から始まります。
登場時は所謂主人公が強くなるための壁の一枚に過ぎない、どちらかと言えば本筋とは外れていて、他の作家さんなら詳しく取り上げないだろうな、っていう程度のキャラだと思っていました。


…が、羽海野先生はこういったキャラも使い捨てることはしなかった。
この人、零と二階堂を客観的にみる上ではとても重要なファクターを孕んでいたのです。



何かを成し遂げようとするには、深くて怖い水底に何度も飛び込み続けなければならない。
そしてその勇気を持った彼ら二人に畏敬と尊敬の念のようなものを感じた、この男の話を皮切りに、物語は進んでいきます。



2本目(チャプター65)。

待望のひなちゃんきたーーー!!とか思ったのも束の間。


そうです。
修学旅行中居場所をなくしたひなちゃんを捜し、遥々京都を赴いた零君と出会う、割かし切迫したシーンでもある本話


この後帰宅してから3姉妹(+じぃちゃん)にあんみつ特盛り☆を奢る場面でもそうなのですが、本当に零君の優しさが痛み入ってくるほどに実感できる内容です。

後に零は彼女に(これ以上のことができなかった)と嘆く場面があるですが、この時のひなちゃんを見る限り、間違いなく“くすり”は効いていたことでしょう。

このシーンから、人は事態に直接関した作用を与えたときだけでなく、自分のために他の優しさで労わってもらえることでも救われることがあるのだな、と感じました。
優しさは強さなんだなぁ、と。。



3本目(チャプター66)。
ここで零君自身の話に。
棋士としては、その厳しい道の中では、ある意味順調すぎるほど順調に進んでいる彼も、学内には友達がおらず、寂しい学校生活だった模様。
そんな彼に、元担任・林田の協力もあり、廃部寸前だった科学部の面々と共同で部活を行うことになったのが、これまでのお話。
本話では新人王になった彼を祝し、祝賀会を開いてもらえることに…。
ずっと一人で戦っていたはずの零君でしたが、「頼りにしている」、「おめでとう」、「ありがとう」などの、人との関わりあいの中でしか手に入らない言葉を受け、思わず泣き出してしまいます。



…はい、ここで涙一回!


まずここでやられました。。
人は周りの人間と共に生きているのだということがわかる、胸が熱くなるシーンでした。



続いてのチャプター67は、零君周辺の将棋界の話と、3年生主体だった部活がこのまま解散になっていまうんじゃ…、と焦る話。
結局元部員達のナイスな提案もあり、部の存続は叶うのですが、ここでポツリと漏らす、科学部元部長のセリフがグッとくるんだなぁ。。


――失望も淋しさも、人間には必要。
それゆえ勇気を出して新しい世界に手を伸ばす。


…もうね、本当にコイツ高校生かとw
登場人物が自分の年代より年上に見えてしまうのはよくあることですが、彼には人生のなんたるかみたいな話を、小一時間していただきたいものだと思ってしまいました(笑)



チャプター68。
再び舞台はひなちゃんの通う中学校の教室へ。
ここでもひなちゃんはいじめっ子相手に怯むことなく、立ち向かっていきます。


そしていじめがあった実態をようやく受け入れるものの、結局受け止めきれずにパンクしてしまう担任教師


…正直、この場面は自分の立場を考えた上でも読むのが非常に辛かったです。
確かに、彼女にはこの教室を纏めるだけの力はなかったかもしれない。
でも、それにしてもここまで追い込まれてしまうとは・・・。


現在新人教師の自殺、なんて話題が取り上げられるのが珍しくなくなった昨今。
私自身、明日は我が身かもなどとまでは思いませんが、それでも色々と思うところがあったりします。

参考リンク
〜新任教諭自殺は公務災害(msn産経ニュースより)〜

〜新人教師自殺 心のケアは…(読売より)〜


教師が心を病むとき―私の「うつ病」体験から

教師が心を病むとき―私の「うつ病」体験から


そして、代わりにこのクラスを受け持つ学年主任の先生が、また凄い。

厳格とした態度で、そしてはっきりと生徒に向かい合い、「俺はいじめを決して見過ごさない」という構えで臨もうとします。
結局個別に生徒全員と三者面談を行うことになり、ひなにとってもさぞ心強かったであろう(そして、申し訳なかったであろう)長女・あかりが学校へ赴くことに。
ここであかりから「どこまでもひなの味方だからね」と言われたひなちゃんの心の内を考えるとまた、胸がキュー…、としてきます。


そしてあかりは、いじめを行った張本人である少女の親と、直接対峙することになるのですが・・・・


いやはや、凄かったですね…。


みなさんはどうお感じになったでしょうか?



いじめた側の母親に腸が煮えたぎる思いだったでしょうか?


あかりさんにもっと闘って欲しかったでしょうか?


僕は…。
ここでもやはり、複雑な思いでした。
現実的に生徒の親と関わることがこれまでの少ない経験ながらにあるのですが、実際あることないこと子どもの言うことを鵜呑みにし、全くこちらの言うことに耳を貸さない親御さんというのは確かにいました。
僕が直接相手にするのは、現状まだ先になるかと思うのですが、未だにその対応の難しさに震え上がってしまう弱い自分がいます。

モンスターペアレント―ムチャをねじ込む親たち

モンスターペアレント―ムチャをねじ込む親たち



この後、あまりに辛辣で自分勝手な言い分を突き付けられ、思わず気分を悪くして倒れてしまうあかりさん。
この場合あかりが向けられた感情を何と言ったものかわかりかねますが、敢えて“悪意”と言ってしまいます。

人は確固たる悪意を持って凄まれたら、真っ当な精神では太刀打ちできないことが多々あります。
そして、このように正論だけでは通用しない人間というのは、残念ながら現実にも多く存在する。


この後経験豊富な新担任によって、結局いじめたことを本人が認めることになるのですが、この親にどう対応したかまでは記載されておらず、正直今後のためにも是非見てみたかったなぁ、とか思ってしまう私は、他力本願なクソ野郎かもしれません。。


さて、この中でいじめた子が語る内容には、最近良く使われている、所謂“子どもが抱える闇”が内包されているように感じました。



(この不景気で将来の見通しが立てづらくなっている現在、果たして生きていて何か意味があるのか)


(そもそも私の気持ちなんて先生も友達も、誰もわかってくれないよ…)


こうした悩みを抱える子どもはかなりの数に渡っているかと思います。

参考リンク
〜不登校・引きこもりの子供の心の闇と根本的解決の必要性(不登校親支援プログラムより)〜
〜中二病とは何か(iwatamさんの個人サーバより)〜


子どもの悲鳴、大人の動揺―教育病理に応える臨床教育学

子どもの悲鳴、大人の動揺―教育病理に応える臨床教育学


現に、私の授業の中で、「この勉強意味あるんですか?」と真顔で聞いてくる生徒は普通にいました。
ちょっと前のような、“勉強していれば良い学校を出て良い会社に入って〜”とか、“仮にそんな勉強が好きじゃなくても、やる気さえあれば何かしらの仕事には就けるだろ〜”とか、そんな時代はとうの昔になくなっています。


だから日々の勉強にしたって、“取りあえずやんなきゃ大人に怒られるから”という免罪符のためだけにやっているような子も出てしまう。
そして大して興味がないまま学習しても長続きしなかったり、おまけに社会は成果主義に変遷しつつあり、実力が伴っていない者は切り捨てられる世の中になってきています。


これって、大きな問題であるように思うのです。

勉強にしろ何にしろ、やったことの成果が形となって見えてきづらくなった今、我々大人はどういった教育をしていくべきなんでしょうか。



わかりやすくて面白い授業?


それとも、社会に出て直ぐ成果に直結するような実務指導とかでしょうか?


もうね、そんなん努力はしても子どもの心の中までは中々見えてこないし、生徒一人一人、その特性も多様化してきた現在、更に難しくなってきているように感じます。




…すみません、話しが大きくそれました。

結局新担任の試みも功を奏し、いじめの件は収拾されていくことになるのですが、この件に対するひなちゃんの態度は確固たるものでした。


倒れたあかりに寄り添いながら、いじめの辛い日々に耐えてきた彼女はこう言い放つのです。



うん、涙2回目



強いね、この子は!
もう君はずっと勝ってたよ!


そして、経過を見守る新担任にも。

冷静に、粛々と。


この言葉を受けたベテラン教員が、改めて「教育」について考え直します。
「教え」て、「育てる」のが教育。


教えるだけだったらサルでもできますが、そこに育った証を見るためには、上質な指導力と、何より子ども自身の“成長しようという気持ち”がないと難しいと、私は考えます。
そしてそれを促してやれるような導き方ってのがまた、ホンットむっずかしいんだよなー、と。。(すみません、以下ループして答えは出ません。気持悪くってすみません。。


教育とは何か (岩波新書)

教育とは何か (岩波新書)



この話の最後に、いじめられて転校してしまった元同級生の女の子からひなちゃんに手紙が届きます。
その中に、転校先の田舎で、“友達の作り方を教わった話”が綴られているのですが、ここで三度目の涙



年の近い友達と聞いて、その子がまず思ったのはひなちゃん。


もう大号泣でした(笑)



良かったねぇ、ひなちゃん。


その子もずっとひなちゃんのことが好きだったんだよ。


大事に思ってくれて、嬉しかったんだねぇ…。



…と、頭をなでなでしてあげたくなっちゃったよ☆ (キモ…wまぁようやく僕らしい文章になってきたのかも(^^;



次の話では前述で少し話した、零君とひなちゃんのシーン。

う〜ん☆眠ってる少女ってなんか良いよね!←


そして事態が収拾した旨を伝えるひなちゃんに、何もできなかったと嘆く零君でしたが・・・


そう、いじめられた少女を助けたひなちゃんもまた、零に救われていたんだなぁ、と思わせてくれる非常に微笑ましいシーン(^^)

いやはや、可愛い。。w





(※3/24 ☆ちょこっとだけ追記☆
なんだかテンション上がってきて、零×ひなちゃん推しっぽく書いちゃってますが、個人的には二人の間に漂う、優しくてホワン。。とした空気感が好きなだけで、正直明確な恋愛関係として描いて欲しくはないなー、とか思っています。

連載が青年誌であり、また元々思春期の恋愛に主軸をおいた設定ではないことなどを鑑みても、あくまで零君の成長物語として、最後までこの作品を見届けていきたいものだなぁ、と。


まぁ勿論、一読者の勝手な願望に過ぎないことは重々理解していますし、適当に見流して頂いて構いませんが…。
…てかやっぱし皆さん、そういう展開を希望されている方が多いんでしょうかね〜。。?(^^;



ラストで零君の元担任教師が話す、“世界は結果だけで回ってるんじゃない”という言葉は、何もできなかったと一度は嘆いた零君の心に、じんわりと染み入っていったのではないでしょうか。



最後のチャプターにて、話の展開はガラッと雰囲気を変えます。
この物語全体を通しての、恐らく裏ボス的存在、宗谷名人との一騎打ち。
“人の姿を保っているだけの将棋の鬼”と称される相手に、一体どんな手打ちをするのかっ!



乞うご期待☆


…ってな感じで引いとります(^^;


まぁ案の定気になってしまい、この続きが載っているヤングアニマル最新号も読んだのですが、その聡明で、零にとって“白い鳥”を彷彿とさせる彼はただ冷静に、一手一手を零に切り込んでいく。
…が、零君もただ黙って受けているだけでなく、彼なりの将棋を向かい合って打てているようで・・・。

ヤングアニマル 2012年 4/13号 [雑誌]

ヤングアニマル 2012年 4/13号 [雑誌]


とは言ってもまだまだ序盤!
今後の展開からも目が離せませんよ〜!!



私の現段階におけるイチオシ漫画、『3月のライオン』を、今後もずっと大事に読んでいきたいと思います!!

ダラダラと長文失礼。

これにて。


※以前書いた前巻までの感想はこちらです。↓
今回より更に拙い内容となっており恐縮ですが、是非是非っ!(><)

3月のライオン5巻感想 byパン友
3月のライオン6巻感想 byパン友


3月のライオン 5 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 5 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 6 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 6 (ヤングアニマルコミックス)