ついに始まった。   by M-san

そう。
今日から夏休み。一週間ほどの短い夏休み。
今年はどんな夏休みになるんだろう。
どんな夏休みにするかは僕次第!
僕はこの一週間をどう過ごしたいんだろう。何をしたいんだろう。
まだはっきりとは決まってない。
でもぼんやりと『やってみたいこと』は思い浮かぶ。



ぼんやりと『やってみたいこと』というのは、如何なる時でも『ふっ』とした時に思い浮かぶ。
でも思い浮かぶだけで、実際、『やった』というのはとても数少ない。
普段から『やった』という実感が目に見えてないのに、この短い夏休みの一週間でもできるのか?



毎年そうだった。
いや。毎月そうだった。
違う。毎週そうだった。
これも違う。毎日だ。
昔から・・・
始まりはいつからかはもう覚えていない。
でも生きてきた中で、そうなったのは覚えている。
それは僕の気づかないうちに、ゆっくりと、じわりじわりと広がった。
今はそれが満ちている。
それが一杯になったときも覚えている。
それが今の僕の内側を作っている。



昔の話し。子供の頃の話し。
『やってみたいこと』がある。
身近な大人に気持ちを伝えてみた。子供の言葉で。
自分の気持ちを積極的に出したことは初めてだった。
でもそれは、もしかしたら子供ながらのわがままだったのかもしれない。
それにしたって、自分の口から言うのも初めてだった。
ドキドキした。わくわくした。不安と期待で胸がいっぱいだった。
どうなるんだろう・・・



始めに駄目と言われた。
でも、次にその駄目な理由をちゃんと聞かされた。
よく解からない理由だった。
子供ではあまり理解できない内容だった。
それでも、僕は大人が言うから信じた。



それからも何度か『やってみたいこと』が思い浮かんだ。
全てではないけれど、なるべく多くを身近な大人に思いを伝えた。
でも、返ってくるのは始めに『駄目』と次に『よくわからない理由』だった。
いつもその二つだった。
それでも『次こそは・・・』と思った。



だが同じことの繰り返しで、その気持ちもいつの間にか薄れて、思いを伝える口は少なくなった。
返ってくるのがいつもの二つ。それだけだから・・・



僕は変わっていく。
子供から大人に。
ゆっくりと、時間をかけて。
外側と内側を・・・



久しぶりに『やってみたいこと』を身近な大人に伝えてみた。
やっぱり返ってくるのはいつもの二つだった。
そのときも同じだった。
始めに『駄目』。
次に『よくわからない理由』。
そう『よくわからない理由』。



よくわからない理由。
よくわからない理由・・・
よくわからないりゆう・・・
よく・・・わからない・・・りゆう・・・
よ・・・く・・・わから・・・ない・・・り・・・ゆ・・・う・・・



僕には兄弟がいる。姉と兄だ。
姉とは学年で言うと4つ、兄とは3つ離れていた。
そういえば、姉も兄も身近な大人に『やってみたいこと』を伝えることはここ最近ない。
ない。
最近?
思い出せるほど最近?
いつから?
それは、いつから?
ねぇ、いつから?



その日から言わないようした。その気持ちを思い浮かべて空想するだけで終わらせるようになった。
そうするように・・・こころに・・・



決めた日からとても多くの月日が流れた。
あれは高校二年の3学期。選択科目をどれにするか決めなければならなかったとき。
一年前の高校一年の3学期の時には、建築の設計という職業に就きたいと思って、理系の選択科目に選んで、高校二年の一年間勉強した。
けどその時、設計という職業でなく、違うものもいいと思っていた。候補は設計の他に二つ。
二つとも、選択科目が理系で問題なかった。でも、高校卒業して大学に行くのか、それとも専門学校に行くかで、必要な科目が変わってきた。例えば、理工系で大学に行くなら数学Ⅲ、数学Cとかは必要だけど、専門学校ならそこまでは必要でなかったりする。
後は、学生を4年やるか2年やるか、専門知識の学べる実質期間・濃密差・授業カリキュラム・・・・・・



考えた末、設計ではない道を選ぶことにした。設計と同じくらいやりたいことだった。けどそのころ設計にはない自分の『好きなこと』があった。行く学校はまだはっきり決められなかったので、保留ということにした。
そのことを、身近な大人に話した。
身近な大人は否定した。大きな理由は二つあった。
先ずは、僕にそれを学ぶほどの最低限の知識やら技術がないことを言った。でもそんなこと問題ないと思った。これから先身に付ければいいことだし、むしろ自然と身に付くことだと思っていたからだ。
でも、二つ目の理由は堪えた。これは身近な大人の偏見と知識不足からなるもの言いだった。これを仕事にして生活をしている人、全てを冒涜した台詞だった。



「そんな職業。どうせ遊びの延長線上でやってるやつでしょう。まともなものを選びなさい」



聞いたときはショックで何も言えず、泣きそうだった。
この職業に就いて真面目に仕事をしていても、仕事柄だけで将来の僕という存在は全て否定される光景が頭の中を駆け巡った。
その時に、僕の内側はそれで一杯になった。
僕の子供の頃最後の『やってみたいこと』。
一番の『やってみたいこと』・・・



それが僕の内側を一杯にしてからは、先ず始めに、進路を建築設計に変えたこと。これは身近な大人に浴びせられたあの台詞を聞いてすぐのことだった。
次に学校は大学ではなく、専門学校にした。身近な大人に「お前を高校以上の学校に行かせるため貯金がない。大学はほとんど無理。行くんなら奨学金とか自分で調べてなんとかしろ。専門学校ならなんとかなる」と言われた。それに、学生生活にも飽きていた。早く社会に出て働きたいのもあった。それに学歴が高卒で終わらずに済めばどこでもいいと思った。



その後の高校最後の一年と、行った専門学校、社会人になってからも、面倒な感情を起こさないために、必要以上の事はしていない。
楽だ。
ほんとに楽だ・・・
毎日が平和でいい・・・
内側も・・・



でも最近は内側がおかしい。
あれで満ちているのに・・・
必要以上の事はしてないのに・・・
面倒な感情がよく湧く・・・



そう。
今日から夏休み。一週間ほどの短い夏休み。
今年はどんな夏休みになるんだろう。
どんな夏休みにするかは僕次第!
そう。
僕次第!
僕はこの一週間をどう過ごしたいんだろう。何をしたいんだろう。
まだはっきりとは決まってない。
でもぼんやりと『やってみたいこと』は思い浮かぶ。
そう。
ぼんやりと『やってみたいこと』は思い浮かぶ。
だったら、この夏休みから『やってみたいこと』やってみよう。
この短い夏休みの一週間からでもできることを・・・



そう。
やってみよう!
まずはこの短い夏休みの一週間から!
ここからはじめよう!