『日傘のお兄さん』他  by パン友

こんばんは!
なかなか更新するタイミング探すのむずかしいです(^^;
今日も気づけばこんな時間だし、どうしようかと思ったのですが、相方も書いてるしちょっとだけ読んだ本の感想でも。。


今さっきまで読んでいた『日傘のお兄さん』(豊島ミホ著;新潮社)という小説を紹介します。


豊島さんといえば現役大学生デビューを飾った後、瑞々しい女性的目線からお話を紡ぐ作家さんとして知られています。
少し前に檸檬のころが映画化したことで更にその名が知られるところとなりました。
僕もこの小説が出たときに彼女を知り、他にブルースノウ・ワルツ、神田川デイズ 、ぽろぽろドールなど、好きな小説が多々あります。中でも底辺女子高生は彼女自信のエッセイであり、快活でとにかく若い高校生のイメージとはうらはらに、気だるく、ちょいアングラ気味に、でも懐かしくって妙に楽しかったあの頃を思い出せる名(迷?)著であると思っています。


さて、そんなファンである自分は意図的にこの『日傘のお兄さん』だけは避けてきました。
何故か…。


だぁって、背表紙にロリコン男と少女の逃避行って書いてあって、なんか狙いすぎている感が嫌だったんです。
僕は少女性探求を第2の生業としているつもりですが、こういうのって簡単に記号化されてしまうと逆に手が出にくくなってしまいませんか?
自分は世間的にロリだの予備軍だの言われても、やらかさない限りは放って置いて欲しいとか思っちゃうタイプの人間で、こういう如何にもなキャッチは自ら避けるようにしています。
だからこそ、これだけは見なくて良いや、くらいに構えて無視してきたのですが…。
ずっと部屋にはあって、今日たまたま発掘して会社から逃避するにはある意味良いかもっ、て軽い感じで読み始めました。
つーか普通に気になってたってことかもですが。。


●どうして本を読むのか
前置きが長くなりました(汗
僕がこの作品で一番なるほど、と思ったのは文中で中学生の夏美が友達と図書館に行くシーン。
彼女は「自称文学少女」になったのは、ビンボーで本を読むしか娯楽がなかったからだと言います。
これ自分もそうかも。
僕も図書館は大の親友だったし、現在は古本とか子供の駄菓子感覚で買えてしまう。
彼女はこれを利用し、人間関係を円滑にできるが、孤高は気取らずあくまで活動的にいることを基本のポーズとします。
でもこんな彼女の演技に、友達のみっちゃんは壁を感じていました。
それを言われて赤面する少女の気持ち、わかるような気がする。
これはお調子者を演じる人間失格の葉蔵にも通じる部分がありますが、こっちの方が全然救いがあります。
みっちゃんは夏美を好きで、もっと近づきたいと続けます。
百合的な意味でじゃなく、率直な友達からの意見に更に顔を赤くする夏美。
もう、なんかキュンとするではないですか!


●男の三重苦
こんな青春小説と少女漫画のいいとこどりみたいな流れで、彼女はかの遠い夏の日に出会った、‘お兄さん'と再会します。
「追われてる。かくまってくれないか」
作中はっきりとは描かれていませんが、過去に夏美がこのお兄さんと会ったのは保育園の頃。
おそらくはつ恋ではないのでしょうが、ボシカテーになった寂しさと、あの夏の日のようなどこかへ行きたかった彼女は、これを承諾。母と住むアパートに匿います。
うん、このサスペンスの予兆みたいなドキドキ感良い!
後に男は「ニート・ヒキコモリ・そしてロリコン」の三重苦であると夏美もわかりますが、まだそれは先の話。
でもこんな要素すら気にならないくらいに、この話は綺麗に描かれていくのです。


●厨房の恋心、そして逃げる楽しさ(何から?)
翌日たまたま学校で、夏美は近所をうろつくロリコン男がネット上で話題になっていることを知ります。
それを知って動揺する夏美への友達や男子生徒(宮川)の反応がまた良いんだ!
特に宮川の、気になっているのに伝わらないもどかしさっていったらもう!
夏美ももうちょっとデレてあげてくれよwお願いだから!って感じ。

そして結局、夏美とお兄さんはアパートを抜け出し、逃避行にでます。
ここで行きがけのバスを追いかける宮川もねw良いんだよ。。
あとこのあたりの会話からこのお兄さんはそんなに怖い人間ではないと気づけました。
ロリとかストーカーとか、ある意味純情ってことなのかなぁ…とか思わせてしまうのも上手いなぁw
まぁ一応幼馴染ともいえるのかもだけど、年の差がアレすぎたし。
あと僕、こういう子供の逃避行とか、死ぬほど好きなんよねぇ。。(今回は寝台特急とか最高過ぎるw)
ヲタネタならイリヤとかとらドラとかサイカノとかさ。
なんかに追われてて、最初はそれにビクビクしてるんだけど、だんだんただ一緒に知らない土地で過ごして、楽しくなって、っつー。
どれも結局最後は捕まっちゃうんだけどさ。なんつーんだろ。スタンド・バイ・ミーみたいな小学生とかもいいんだけど、少しモノ知って、結局現実に敵うわけないってわかっているのに、やらかしたくなっちゃうっつーか…。
ソンくらいのバランス感。
ヴー、上手く言えないですが(-_-;
俺も時々仕事とか生活とか人間関係とか、それから夢も全部捨てて逃避行したくなったりするしさ。
ま。対象がいれば、ですかね…


●過去の嫌な思い出を知られること
っていやだよねぇ。
特に自分の好きな相手に、ったらもう。。
お兄さんは夏美に自分の過去を自虐的に話しますが、これがなかなかに痛々しい。
ありがちなところが妙に痛い。
ひぐらしのなく頃にで、自分の嫌な過去はたとえ大切な相手にも話す必要はない、というテキストがあるけど、あれは救いのある言葉だよなぁって思う。
でも、こういう言っても聞いても辛い話って、どこかでぶちまけたい、共有したいって思っちゃうから人間は面白いよなぁ。
共有することで許された気になる、ってのは弱さかもだけど、それができるからわかりあえるんだよねぇ。
そういう人が周りにいなくて、いきなり目の前に現れたらそりゃあ好きにもなっちゃうよなぁ…

そして物語はクライマックスへ…。
夏美とお兄さんは進み続けます。
あの場所を目指して。


…ま、ラストはちょっと書かないでおきます。
読了感はかなり良い方だと思いますので、あんま犯罪チックなのは…って人も是非。
なーんか少女性って意味では似ているけど、桜庭一樹とかとは相反的な作風かと。
ま、あっちはかなり暗部に眼がいってるしね(^^;





◯ちょっと色々感想まとめ。
少女性つながりで、『少女素数』の感想も書きたかったなー。
双子の妹可愛すぎるwなーんかすみれの方が人気でそうだけど。健気だし。
他に『響子と父さん』は父さんの人生観格好良い!
『夏の前日』は和服とたばこと顔がかけない根暗イケメンの組み合わせが好き。
アニメはプリキュアチェキッ娘ヤバすぎ。えくぼが…。
映画『天然コケッコー夏帆やばいかわぇw面倒見の良いおねぇちゃんていいよね!

 …なんかカオスですが、またまとめますわー。


最後に、条例で色々ヤバそうですね。
表現抑制の懸念と、健全な教育機会の保持のため非実在青少年条例には反対です。